様々な歯科の診療科と歯医者に必要な技術とは

歯科には一般的な虫歯や歯周病を治療するものの他に、矯正を専門とするものや小児を治療対象とするもの、口腔外科があります。一般的な歯医者では虫歯や歯周病など口腔内の疾病を治療する他に、インプラントの埋め込みや歯肉にできた腫瘤の除去などを行っています。インプラントとは本来であれば体内に埋め込まれる医療器具の総称です。しかし歯科では失われた歯根の代わりに顎骨に埋め込む人工歯根のことを指します。

人工歯根は特にデンタルインプラントと呼ばれることがあります。デンタルインプラントは欠損歯の問題を解決するために顎骨に埋め込まれます。インプラント体やフィクスチャーと呼ばれる部品が顎骨に埋め込まれ、さらにフィクスチャーに人工歯が固定される仕組みです。フィクスチャーが顎骨と結合するまでには6週間から6か月ほどの時間が必要です。

歯が欠損した場合にはインプラントの他にもブリッジや有床義歯が利用されています。インプラントはブリッジや有床義歯と比較して自然な仕上がりにでき、自分の歯に近い機能と形態を回復できる可能性があります。歯を削ったり負担をかける心配もないため人気です。インプラント治療は審美目的とされるので保険の適用がありません。

歯科医院を開業して効率的な経営を行うためには自由診療の治療も重要となります。一般的な歯科医院では虫歯や歯周病などの治療の他にインプラントの埋め込みや歯肉にできた肉腫の除去などが行われますが、これらは一種の外科手術です。基本的に外科治療は歯科医師ではなく外科医の仕事ですが、歯科医師法で一定の外科治療が認められています。歯肉にできた肉腫には先天性のものと後天性のものがあります。

ヨーロッパやアメリカでは先天性のものを後天性のもの区別していますが、日本では同様に扱われます。歯肉に肉腫ができる原因としては歯列不正や不適合な補綴物による持続的な局所刺激が大半を占めます。肉腫は線維性のものと巨細胞性のものに分類されますが、日本では線維性、ヨーロッパやアメリカでは巨細胞性のものが多く見られます。肉腫が大きくなると歯が傾いたり隙間が開くことがあります。

治療するには歯肉や歯槽骨の一部を骨膜とともに切除します。妊娠した場合にも肉腫が発生することがあります。しかし妊娠性のものは分娩後に消えることがあるので、基本的に経過観察が行われます。一般的な歯科医院でも外科的な手術は行われているので、歯科医師になるためには知識だけでなく一定の技術力が必要とされます。

一方で普通の歯医者で行われる外科手術は入院を伴わない小手術が多く、大きな手術が必要な場合は口腔外科などで治療を受けます。歯科には一般的なものの他にも矯正を専門とするもの小児を治療対象とするものがあります。また審美歯科や補綴科、保存科、歯周科の他に高齢者や障害者を治療対象とするもの、麻酔科、放射線科、口腔外科、口腔内科が存在します。補綴科とは歯の欠損を義歯、クラウン、ブリッジなどの人工物で修復する診療科です。

顎顔面補綴を行うこともあります。大学や歯学部の附属病院に設置されるのが一般的です。補綴科は医療法で規定された標榜科ではないため広告に表示することはできません。保存科は虫歯などの疾患に対する保存と修復措置、根管治療などによる歯内治療や歯周病の治療を行います。

歯を保存的に治療することを主な目的とします。治療対象となる疾病としては主に虫歯や歯周病、外傷歯などがあります。ホワイトニングなども保存科の領域に含まれます。保存科も大学や歯学部の附属病院に設置されますが、医療法に規定された標榜科ではありません。

高齢者歯科では65歳以上の高齢者を治療対象とします。心身の加齢による変化や様々な基礎疾患に配慮した治療が行われます。診療科の1つとされますが標榜科としては認められていません。一般的に大学病院などで院内標榜科や専門外来の名称として使用されています。

歯科には口腔内の外科的治療を行う口腔外科と内科的治療を行う口腔内科が存在します。インプラントの埋め込みや歯肉にできた肉腫の除去など簡単な外科手術であれば一般的な歯医者でも可能です。しかし大きな手術が必要な場合には口腔外科を頼ることになります。口腔外科では虫歯や歯周病の治療を除いて顎口腔部分の外科的治療を中心に行います。

一般的な外科の一分野であり、歯医者の一分野でもあるため、歯科医師と医師が業務に従事します。しかし口腔外科では医師よりも歯科医師の方が多数派です。咬み合わせなど顎口腔機能は歯科と密接な関わりがあります。フランスやドイツ、アメリカなどでは口腔外科での業務に従事するためには医師と歯科医師の免許が必要です。

日本ではいずれか一方の免許があれば従事することができます。医療法施行令や厚生労働省令には標榜科名として歯科口腔外科が規定されており、広告にこの名称を使用することができます。口腔外科では顎口腔機能に関する治療を行うために内科的な処置を行う場合があります。また必要な場合にはストレス障害なども治療範囲に含まれます。

口腔外科で取り扱う疾病には炎症や外傷の他に腫瘍やアレルギー、神経疾患、感染症、奇形など様々です。本格的な内科的治療が必要な場合には口腔内科を受診します。口腔内科は口腔に関係のある全身性の疾患を診察し、原則として外科的な方法以外で治療を行います。医療法における正式な標榜科とはされていないので広告を行うことはできません。

口腔内科は口腔に関連するあらゆる疾患を治療対象としています。全身の診察を行った後で最小限の外科的手術や内科的治療を実施します。口腔悪性腫瘍や良性腫瘍、口腔粘膜疾患、唾液腺疾患、口腔額面領域の変形など治療対象となる疾病は様々です。治療範囲が広範囲にわたるため、口腔内科を担当する医師は様々な疾患の診断と鑑別を行う能力が必要とされます。

また関連する医科や検査施設との連携も重要です。ヨーロッパやアメリカでは口腔外科の他に口腔内科が確立されています。日本では大学病院や総合病院の口腔外科が役割を担う場合が多数派です。口腔内科は日本で標榜科として認められていませんが、複数の大学の歯学部では診療科として開設されています。

日本の口腔外科では口腔内科の領域を兼ねることがあり、非常に広い範囲を治療対象とします。また口腔内科の領域だけでなく、一般的な外科の領域と重なる部分も存在します。厚生労働省の審議会における申し合わせでは法的拘束力はありませんが口唇や頬粘膜、上下歯槽など口腔外科の治療対象となる領域が定められています。大学病院や総合病院の口腔外科では舌癌の手術などが行われる場合があります。

大きな手術を行う際には口腔内だけでなく全身の麻酔が必要な場合も存在します。歯科医師は歯科医師法第17条で全身麻酔を行うことができると規定されています。一方で全身麻酔には高度に専門的な知識と技術が必要です。確かに法律上は歯科医師が全身麻酔を行うことが認められていますが、一般的な歯科医師が訓練を行わずに患者に全身麻酔を施すのは事実上不可能とされます。

全身麻酔を行う技術を習得するためには大学の講座や医科での専門的な研修を受けることが必要です。また歯科麻酔分野で5年以上業務に従事した者を対象とした資格試験も存在します。近年では歯科医療の技術は急速に進化しています。インプラントや歯の移植に加えて口腔外科手術などが行われており、麻酔が必要とされます。

適切に麻酔を使用できないと患者への負担が重くなるので、歯科医師には確かな麻酔の技術が求められます。基本的に歯科治療は麻酔が必要な場合には局所的に使用されますが、患者が高齢者の場合などには全身管理が必要になる場合もあります。インプラントなど様々な技術が進化し、外科的な治療が求められる歯科医師には確かな麻酔の技術を習得することが求められます。

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