審美歯科とは美しさと機能の両面を兼ね備えた歯科治療のことです。歯には美しさと機能の両方がなければなりません。どちらも重要であることを考えて、一生を通して各年代のお口の健康を維持していくことが審美歯科の治療です。美的な面としては微笑んだ時の美しい歯並びをはじめ、白い歯や良い噛み合わせを考えてお口のケアをします。
これはその人それぞれの顔や表情に合ったものでなければなりません。また機能の面としてはよい噛み合わせによる快適な食事ができること、正確は発音ができること、清潔な歯や歯茎というものが重要です。どちらか一方だけを追求しても問題が生じます。例えば機能面だけを優先してしまうと、噛めることを前提にした治療をした結果、とりあえず詰め物をして治療終了では見た目が美しくありません。
一方で歯を白くすることだけを治療すると、噛み合わせまで考えていません。このように2つの側面を融合して考えた歯科治療が審美歯科の治療の大切さと言えます。美しい口元や笑顔はコミュニケーションが重要とされる社会生活では非常に重要な問題です。審美歯科の治療は、美しさだけでなく健康面にも気を配り、よく噛めることやクリアな発音といった部分にまで考慮した治療方法です。
審美歯科の治療の中でもベースとなった考え方に「スマイルデザイン」と言われるものがあります。これは今では世界中の審美歯科にとってまず必ず知っている知識の一つになっています。スマイルデザインとはいくつかのチェックポイントがあります。まず1つは歯と顔の関係です。
笑った時に歯と歯茎の関係を調べます。通常は笑うと前歯の先のラインが下唇と一致したライン（アーチ状になる）と美しく見えるとされています。次に歯と歯肉の高さが一致しているかどうかです。中心に線を置くような感じで左右対称になっていない場合は、噛み合わせに問題がある場合や、矯正が必要になることもあります。
ポイント3番目は歯の形を確認します。きれいに見える方の歯は一定の比率があると言われています。黄金率に関係があるとも言われ、中央の歯をベースに後ろに行くにしたがって横の幅が1.6対1対0.6といったような関係性が美しいとされています。これらをゴールデンプロポーションと呼ぶこともあります。
これらは人によっても違いますが、一定の基準とされて満たしていればそれ以外の問題は個性としてみなすこともあります。あまりに規格に沿っていると人工的過ぎるという考え方によるものです。審美歯科で見た目や機能を追求した治療がしたい場合、どんな治療があるかをご紹介します。よく目にする治療にはホワイトニング、ラミネートベニア、クリーニング、PMTCというものがあります。
ホワイトニングは日常生活を送っている中で自然に着色してしまった（加齢が原因のこともあります）歯を白くするものです。専用の薬剤を用いて、歯の表面に塗って白くする効果があります。この歯を白くする薬剤には様々な種類があり、永久歯にだけ使えるもの、エナメル質が形成された18歳以上の方を対象としたものなどの条件があります。ラミネートニベアは歯の表面を薄く削り、セラミックなどの薄片（つけ爪のような感じです）を貼り付けていきます。
これは主に前歯に対して行われることが多く、自前の歯を非常に薄く削って歯の隙間・色・形を治療していきます。クリーニングは歯についた着色、プラーク、歯石などを専用の機器（または器具）によってきれいにする治療です。歯ブラシや普段のお手入れでは落とせない汚れを落としてくれます。PMTCはProfessionalmechanicaltoothcleaningの略でフッ素配合のジェルやペーストを使って、歯の表面の汚れ、プラーク、歯や歯茎の間のプラークを除去します。
先ほどのクリーニングもPMTCも虫歯や歯周病といった予防の観点から定期的に受けることが望ましいとされています。審美歯科の中でも意外と知られていないのが歯茎（歯肉）の治療です。これは歯茎の色やラインに問題がある場合に行います。しかし歯茎の色が悪い場合は別の要因、例えば歯肉炎や歯周病であることも考えられます。
歯茎の色が悪い原因がどこにあるのかによっても、治療方法が変わります。審美歯科で歯茎の色をきれいにしたい場合、歯茎が黒ずんで見える場合はメラニン色素が原因であることが多いと言われています。これは薬を用いてメラニン除去していきます。メラニン除去は日焼けした時と同じ色素メラニンを取り除くものです。
治療はシンプルで薬品を使って10分ほど、そのあとレーザーで30分ほど治療して修了です。ほぼ2週間程度で元のピンク色の歯茎になります。多くの方が悩んでいる差し歯と歯茎の黒ずみという問題があります。これは治療で使用している金属が原因になっていることが多く、金属を使用しない治療を行うと改善することが可能になります。
歯肉の奥まで金属イオンが浸透していることもあり、電気メスで切除する場合もあります。このような黒ずみを防ぐには、オールセラミックを使用した治療を受けるなどを予めしておけば心配がありません。意外と知られていない歯茎の治療も審美歯科で行える治療です。心配なら一度信頼できる審美歯科医院で相談してみるのも良い方法です。
審美歯科で行える治療の中には入れ歯というものも含まれます。一般的に保険で作る、かかりつけの歯科クリニックで作ることが多いとも言われていますが、実は審美歯科で作ると入れ歯ということがわからないように作ってくれます。誰もが入れ歯になりたくないと考えているでしょうが、歯が多くなくなってしまったのでブリッジができない、インプラントは怖いという方には審美歯科で入れ歯とわからないようなものを作ってくれます。これも意外と知られていない治療の一つです。
例えば保険で作る総入れ歯を想像してみると、すべてレジン（プラスチックです）でできている場合が多いはずです。身近な親族の方がお使いの入れ歯を観察してみるとわかります。また部分入れ歯でも安定させるために金属やばねを残っている歯に掛けて固定するようにしています。一方自己負担で行う審美歯科なら総入れ歯でも一部レジンで部分的に金属という組み合わせや、バネや金属がない入れ歯というものも作ることが可能です。
これにより笑った時に自然で入れ歯とは気づかれないようなものを作成することも可能です。入れ歯というとどうしても目立ってしまう、発音がはっきりしないという悩みを持つ方もいらっしゃいます。また食事が美味しくないという意見もあります。このような悩みを持つなら一度審美歯科で相談するのも良い方法です。
審美歯科で行える治療の中に、銀歯を白く見せる方法があります。これは奥歯であってもふとしたことで銀歯の被せ物が見える場合があります。銀歯を白くしたい場合、保険でできる白い歯はレジンというプラスチック樹脂を金属に貼り付けます。一方自費で行う治療では、セラミックや人工ダイヤモンドの原料ジルコニアなどでできています。
自費ほど高くなく、保険ほど安くないという中間にある素材もあります。これはレジンやガラスの粉とセラミックの粉を混ぜて作られた素材です。実はこのような素材が出てきた背景の一つにCAD／CAM（人口の歯を機械で削り出して作る）や3Dプリンターの歯科治療への普及があります。このような機器によって白い歯が当日でも作れるくらいになってきました。
このような機器で作られた歯は審美性が良いという部分だけでなく、金属による歯肉の黒ずみを防いで、自然な硬さを味わせます。歯と同じような硬さなので噛み締めた時に受ける歯や骨へのダメージを吸収してくれます。あまりに硬いと天然の歯が割れることもあるので、程よい硬さというのが重要です。条件が合うと健康保険でも治療を受けることが可能です。
審美歯科と言っても年々色々な技術が導入され、見た目だけでなくQOLを上げる治療として注目されています。
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